一般社団法人 先端医療医薬開発機構

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がん遺伝子治療とは

がんの治療法

がん治療の根本はがん細胞を無くす事にあります。現在は手術、抗がん剤、放射線治療の三大治療が基本となりますが、いずれも体には負担のある治療法です。
手術は、がんの病巣を取り除くことを目的とし最も効果の高い治療法ですが、切除した部位によっては臓器や体の機能が失われることがあります。
抗がん剤や放射線治療は、がん細胞を無くしていくことを目的とし高い効果が望めますが、強い副作用があるため患者様にとってつらい治療になります。
そして、いずれの治療にも共通する点が、がんの発生箇所や時期によっては、治療が行えないことがあるという点です。

がん遺伝子治療は、がん抑制遺伝子や、がん抑制タンパクを用いて、がん細胞を自滅に追い込む治療です。
正常細胞はがん抑制遺伝子を持っているので、がん遺伝子治療による影響はありません。がん細胞だけに作用し、正常細胞には何も作用しないので、発生箇所や時期を問わず、副作用も無いに等しいのです。
更に、手術後の再発防止にも有効であり、抗がん剤や放射線治療の効果を高めることも可能なため、三大治療と合わせてがん遺伝子治療を行うことは非常に効果的です。

がん抑制遺伝子とは

がん抑制遺伝子は、がんの発生を抑制する機能を持つタンパク質(がん抑制タンパク質)をコードする遺伝子で、がんの発生と密接な関係があります。
がんの発生原因は、主に以下の2つです。
  1. がん抑制遺伝子が損傷した結果、がん抑制タンパクが作られなくなる。
  2. がん抑制タンパクが他のタンパクと結合して抑制の機能が阻害される。
この事から、がん抑制遺伝子やがん抑制タンパクが、いかに重要な働きをしているか理解できると思います。

がん遺伝子治療・CDC6shRNA

がん遺伝子治療とは

がん細胞の多くは、がん抑制遺伝子またはがん抑制タンパクが欠落しているか、正常の機能をはたさなくなっています。がん遺伝子治療は ウイルスベクターなどを使って、がん抑制遺伝子やがん抑制タンパクを体内に導入するものであり、がん細胞が失っている自己自滅へのサイクルを活性化し、サイクルに足りないものを補って、がん細胞自体を死滅の方向に誘導する治療です。
治療は主に点滴で行うので、他の治療に比べると精神的にも肉体的にも患者様の負担が非常に少ないと言えます。
さらに、抗がん剤や放射線治療とは作用機序が似ているので、併用治療による相乗効果が期待できるほか、抗がん剤や放射線の使用量を減らし、つらい副作用を軽減することも可能です。

がん遺伝子治療にもいくつかの種類があります。
がん抑制遺伝子も多数ありますし、がん細胞に導入するベクターも含めて、今後も研究・開発が進むことが期待できます。
常に最新最良のがん遺伝子治療を提供すことが私たちの使命だと考えています。

主ながん抑制遺伝子

遺伝子名 主な機能
p53 転写因子
PTEN ホスファターゼ
p16 サイクリン依存性
キナーゼ阻害
RB 細胞周期調節
MSH2 ミスマッチ修復

その他のがん抑制遺伝子

APC CHEK2 SDHD
NF1 Maspin p57KIP2
NF2 p73 PTC
WT1 DPC4(SMAD4) TSC1
VHL MLH1 TSC2
BRCA1 PMS2 EXT1
BRCA2 DCC EXT2