一般社団法人 先端医療医薬開発機構

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遺伝子治療とは

遺伝子治療とベクター

遺伝子治療とは、疾患の治療を目的として、遺伝子または遺伝子を導入した細胞をからだの中に入れる治療法です。
この際、遺伝子を運ぶ役割をはたすものが、ベクターと呼ばれています。ベクターとしてはウイルスが使用されることが多く、アデノウイルスやレンチウイルスなどが使用されています。
中でもアデノウイルスは遺伝子治療でよく使われているのですが、細胞の核内には低頻度でしか入り込めません。したがって、核内まで入る事ができるレンチウイルスの方が、がん遺伝子治療には適しています。

導入遺伝子タンパク

遺伝子治療のベクターに何を持たせて治療を行うのかは、非常に重要です。
特にがん治療の場合は、なるべく多くのがん抑制遺伝子を入れることによって、治療効果を高めることが出来ます。
また、がん細胞の中にはがん抑制遺伝子の働きを阻害するものがあります。これに対しては、阻害を阻止してくれるタンパクも同時に導入することで、効果を高めることが可能です。
※例えばP53は、有名ながん抑制遺伝子ですが、がん細胞ではMDM2というタンパクと結合してしまい、がん細胞を自滅させる機能を失ってしまいます。P53の単独投与も有効ではありますが、このMDM2のP53に対する結合を阻止するタンパクを同時導入したほうが、P53効果を増強する事ができます。

遺伝子治療とがん

現在、遺伝子治療が行われている疾患は、がん以外にも、心・血管疾患、単一遺伝子疾患、感染症などがあり、今後、アルツハイマー病の治療も可能になる日が近いと言われています。
このように、遺伝子治療は様々な疾患の治療に有効ですが、中でもがんに対する遺伝子治療の研究が最も進んでいます。
すでに多くのがん患者様が遺伝子治療を受け、十分な効果が認められることから、いずれ、手術・抗がん剤・放射線治療と並ぶ、第四のがん治療になると思われます。
種類 染色体への組み込み 分裂細胞への導入 非分裂細胞への導入 遺伝子発現期間
レトロウイルス
ベクター
× 長期
レンチウイルス
ベクター
長期
アデノウイルス
ベクター
低頻度 一過性
アデノ随伴
ウイルス
ベクター
低頻度 長期
プラスミド
ベクター
低頻度 一過性